ジュラコンという名前を聞いたことはあるものの、「どんな材料なのかわからない」「MCナイロンとの違いがよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
ジュラコンは機械部品や精密部品で広く使用されているエンジニアリングプラスチック(エンプラ)の一種です。寸法安定性や耐摩耗性に優れており、NC旋盤やマシニングセンタによる切削加工でも頻繁に使用されています。
一方で、バリの発生や熱による変形など、加工時に注意すべきポイントもあります。
この記事では、ジュラコンの特徴や用途、メリット・デメリットから、加工時の注意点まで現場目線でわかりやすく解説します。
ジュラコンとは?高精度部品で使われるエンプラ材料
ジュラコンはポリアセタール(POM)の商品名
ジュラコンとは、ポリアセタール(POM:Polyacetal)の代表的な商品名です。
厳密には「ジュラコン」はポリプラスチックス株式会社の登録商標ですが、加工業界ではPOM全般を指して「ジュラコン」と呼ぶことが少なくありません。
POMは機械的強度や耐摩耗性に優れたエンジニアリングプラスチックであり、金属部品の代替材料としても広く使用されています。
樹脂加工業界では、MCナイロンと並んで最もよく使われる材料の一つです。
ジュラコンが機械部品で広く使われる理由
ジュラコンが機械部品に多く採用される理由は、優れた寸法安定性にあります。
MCナイロンのように吸水による寸法変化が少なく、加工後も寸法を維持しやすいためです。
そのため、
- 精密機械部品
- 搬送設備
- ギア
- ガイド部品
- ブッシュ
など、高い精度が求められる部品で多く採用されています。
ジュラコンの特徴とメリット
寸法安定性に優れている
ジュラコン最大の特徴は、寸法安定性の高さです。
吸水率が非常に低いため、湿度や水分の影響を受けにくく加工後の寸法変化が少ないという特徴があります。
高精度な部品ではわずかな寸法変化が不良につながることもあります。
そのため、厳しい公差が要求される部品ではMCナイロンよりジュラコンが選ばれるケースも少なくありません。
耐摩耗性と摺動性が高い
ジュラコンは摩耗に強く、滑りやすい性質を持っています。
この特性から以下のような部品に多く使用されています。
- ギア
- ブッシュ
- ガイド部品
- ベアリング部品
- ローラー
自己潤滑性も持っているため、潤滑油を使用しにくい環境でも活躍します。
切削加工しやすく量産にも向いている
ジュラコンは切削加工しやすい樹脂としても知られています。
NC旋盤やマシニングセンタで加工した際も、比較的安定した加工が可能です。

私自身もジュラコンを加工してましたが、MCナイロンと比較すると寸法が安定しやすく高精度加工では扱いやすい印象があります!
削りやすいので、個人的には好きな材質ベスト3に入ります。
量産加工との相性も良く、工業製品に広く採用されている理由の一つです。
ジュラコンのデメリットと注意点
衝撃や強い荷重には注意が必要
ジュラコンは強度が高い材料ですが、強い衝撃に対してはMCナイロンの方が有利なケースがあります。
そのため、
- 大きな衝撃荷重が加わる部品
- 耐衝撃性が重要な部品
ではMCナイロンが選ばれることもあります。
材料選定では使用環境を十分に考慮することが重要です。
熱による変形が起こることがある
ジュラコンは熱膨張率が高く、切削熱によって寸法が変化する場合があります。
特に、
- 高回転加工
- 長時間加工
- 薄肉加工
では注意が必要です。
加工直後は寸法が出ていても、冷却後に寸法が変わるケースもあります。
高精度加工では温度管理も重要なポイントです。
切削時にバリが発生しやすい
ジュラコン加工で多くの加工担当者が悩むのがバリです。
切れ味の落ちた工具や不適切な切削条件では、仕上げ面に細かなバリが発生しやすくなります。
特に穴加工や端面加工では注意が必要です。
詳しい対策については以下の記事で解説しています。


ジュラコンとMCナイロンの違い
比較表でわかる性能の違い
| 項目 | ジュラコン(POM) | MCナイロン |
|---|---|---|
| 寸法安定性 | ◎ | △ |
| 吸水性 | 低い | 高い |
| 耐摩耗性 | ○ | ◎ |
| 加工性 | ◎ | ○ |
| 強度 | ○ | ◎ |
| 精密部品適性 | ◎ | ○ |
| コスト | やや高い | 比較的安価 |
最大の違いは吸水性と寸法安定性です。
精度を重視するならジュラコン、耐摩耗性や強度を重視するならMCナイロンが選ばれる傾向があります。
用途別の選び方
ジュラコンが向くケース
- 高精度部品
- 精密機械部品
- 吸水を避けたい環境
- 寸法安定性を重視する場合
MCナイロンが向くケース
- 摩耗が多い部品
- 強度が必要な部品
- コストを抑えたい場合
詳しい比較は以下の記事で解説しています。


ジュラコンの主な用途
機械部品・精密部品での使用例
ジュラコンは様々な機械部品で採用されています。
代表的な用途は以下の通りです。
- ギア
- スペーサー
- ブッシュ
- ガイド
- カム部品
寸法安定性が求められる部品で特に活躍しています。
自動車・食品機械・産業設備での使用例
以下のような分野でも広く使用されています。
- 自動車部品
- 食品機械
- 搬送設備
- 自動化設備
- 精密機構部品
軽量で加工しやすいため、幅広い業界で採用されています。
ジュラコン加工で知っておきたいポイント
旋盤加工で起きやすいトラブル
ジュラコン加工では以下のようなトラブルが発生することがあります。
- バリ
- 発熱
- 切粉の巻き付き
- 寸法変化
- 表面粗さの悪化
特に切粉が長くつながる場合があるため、切削条件の調整が重要です。
高精度加工を行うためのコツ
高精度加工を行うためには以下のポイントを意識しましょう。
- 切れ味の良い工具を使用する
- 切削熱を抑える
- 荒加工と仕上げ加工を分ける
- 加工後に測定時間を確保する
寸法安定性に優れた材料ですが、加工条件によっては精度に影響が出ることもあります。
ジュラコンの代表的なグレード
標準グレード
もっとも一般的なグレードです。
自然色(白色)や黒色が広く流通しており、一般的な機械部品に使用されています。
摺動・導電・高剛性グレード
用途に応じて特殊グレードも存在します。
- 摺動グレード
- 導電グレード
- 帯電防止グレード
- ガラス入りグレード
使用環境に合わせて選定することが重要です。
ジュラコンについてよくある質問
- ジュラコンは屋外で使用できる?
-
使用可能ですが、長期間紫外線にさらされる環境では劣化する場合があります。
屋外用途では使用環境を十分に確認しましょう。 - ジュラコンは水に強い?
-
はい。
吸水率が低いため、水分による寸法変化が少ない材料です。
そのため湿度変化のある環境でも安定した性能を発揮します。 - ジュラコンとMCナイロンはどちらが加工しやすい?
-
一般的にはジュラコンの方が寸法安定性に優れています。
ただし用途によって適した材料は異なるため、加工条件だけでなく使用環境も考慮する必要があります。
まとめ
ジュラコンはポリアセタール(POM)の代表的なエンジニアリングプラスチックです。
吸水率が低く寸法安定性に優れているため、高精度部品や量産部品で多く採用されています。
一方で、バリや熱変形など加工時に注意すべきポイントもあります。
MCナイロンとは特性が大きく異なるため、それぞれの特徴を理解して適切な材料選定を行いましょう。


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