ジュラコン加工をしていると、
「糸のようなバリが残る」
「突切りでめくれる」
「面取りしても綺麗にならない」
「新品工具なのにバリが出る」
と悩む現場は非常に多いです。
特にNC旋盤では、金属加工と同じ感覚で条件を組むと、逆にバリが増えるケースも少なくありません。
ジュラコン(POM)は切削性が良い材料ですが、
- 熱
- 工具形状
- 切れ味
- 送り条件
の影響を受けやすく、少し条件がズレるだけで仕上がりが大きく変わります。
この記事では、実際の現場で効果があった「ジュラコンのバリ対策」を、NC旋盤目線で詳しく解説します。

ジュラコンって何?って方はこちらをどうぞ!


ジュラコン加工でバリが出やすい理由
ジュラコンは“逃げる材料”なので切れ味が重要
ジュラコンは金属と違い、刃物が当たった時に「逃げる」特性があります。
そのため、
- 切れない工具
- 摩耗した刃
- Rの大きいチップ
を使うと、材料を押し潰すような状態になり、糸バリやめくれが発生しやすくなります。
特に樹脂加工では、
「削る」より「しっかり切る」
感覚が重要です。
切れ味が悪いと、材料を引っ張りながら加工してしまうため、出口側に大きなバリが残ります。
熱・変形・粘りがバリ発生につながる
ジュラコンは熱に比較的強い樹脂ですが、切削熱が溜まると柔らかくなります。
すると、
- めくれ
- 溶け
- 白化
- バリの引き伸び
が発生しやすくなります。
特に回転数が高すぎる場合は注意が必要です。
金属加工では高回転で仕上げ面が良くなることがありますが、樹脂では逆に熱ダレして悪化するケースもあります。
金属加工と同じ条件では失敗しやすい
ジュラコン加工で多い失敗が、
「金属と同じ感覚で条件を組む」
ことです。
例えば、
- 送りを下げすぎる
- 回転数を上げすぎる
- R付きチップで仕上げる
などは、逆にバリを増やす原因になります。
樹脂加工では、
- 熱を持たせない
- 擦らない
- 切れ味を優先する
ことが非常に重要です。
ジュラコン加工でバリが出る主な原因
刃物摩耗で切れずに材料を引っ張ってしまう
もっとも多い原因が工具摩耗です。
超硬チップは見た目では綺麗でも、実際には刃先が丸くなっていることがあります。
この状態では切削ではなく「押し切り」に近くなり、材料を引っ張って糸バリが発生します。
ジュラコン加工では、
「まだ使える」
より、
「切れ味が落ちたら交換」
の方が結果的に不良率を減らせます。
切れ刃Rが大きいとバリが増えやすい
R0.4以上のチップを使うと、ジュラコンではバリが急に増えることがあります。
これはRが大きいほど、
- 材料を押す
- 切削抵抗が増える
- 熱が増える
ためです。
特に仕上げ加工では、
- シャープエッジ
- 小R
- 樹脂用チップ
の方が安定しやすいです。
逃げ角不足で擦れて溶けやすくなる
逃げ角が小さい工具は、切削中に材料へ擦れやすくなります。
すると、
- 熱
- 溶着
- めくれ
が発生し、バリが悪化します。
樹脂加工では、金属加工よりも「切れ味重視」の形状が有効です。
回転数が高すぎると熱でめくれが発生する
仕上げ面を良くしようとして回転数を上げすぎると、逆に熱でバリが増えることがあります。
特に、
- 小径ワーク
- 突切り
- 薄肉加工
では熱が逃げにくく、めくれやすくなります。
ジュラコン加工では、
「必要以上に回さない」
ことが重要です。
送り量が少なすぎると切削ではなく擦りになる
意外と多いのが、
「送りを下げれば綺麗になる」
という勘違いです。
しかし樹脂加工では、送りが小さすぎると工具が材料表面を擦る状態になり、逆にバリが増えます。
適度な送りで“しっかり切る”方が安定しやすいです。
突切り条件が悪いと出口側に大きなバリが出る
突切りはジュラコン加工で最もバリが出やすい工程です。
特に最後の貫通時は、
- 材料が逃げる
- 振動する
- 引きちぎられる
ことで大きなめくれが発生します。
最後だけ送りを落とすと改善するケースも多いです。
NC旋盤で実践したいジュラコンのバリ対策
シャープエッジ工具を使って切れ味を優先する
もっとも効果が出やすい対策です。
樹脂加工では、
- 鋭い刃
- 小R
- ポジ形状
の工具が有効です。
「切る」感覚が強い工具ほど、バリを抑えやすくなります。
樹脂用チップに変更すると仕上がりが安定しやすい
汎用チップよりも、樹脂加工向けのシャープチップの方が効果的です。
特に、
- 逃げ角
- 刃先形状
- コーティング
が樹脂向けに最適化されているため、糸バリが減りやすくなります。
送り量を適正化して“しっかり切る”
送りを極端に下げるよりも、
「刃がしっかり食う条件」
の方が綺麗に切れます。
現場では、
- 少し送りを上げたら改善した
- 擦りが減ってバリが消えた
というケースはかなり多いです。
回転数を下げて熱ダレを防ぐ
ジュラコン加工では、必要以上の高回転は逆効果です。
熱を抑えることで、
- 溶け
- 白化
- めくれ
を防ぎやすくなります。
突切りは最後に送りを落としてバリを抑える
突切りは最後の数ミリで状態が変わります。
そのため、
- 最後だけ送りを落とす
- 回転を少し下げる
ことで出口バリが改善する場合があります。
仕上げ代を少なくして擦り加工を減らす
仕上げ代が多すぎると、工具が材料を押しながら削る状態になりやすくなります。
ジュラコンでは、
- 小さめの仕上げ代
- 軽快な切削
の方が安定します。
加工内容別|バリが出やすい場面と対策
外径加工で糸バリが出る時の対策
外径加工では、
- 摩耗工具
- R付きチップ
- 高回転
が原因になりやすいです。
特にシャープエッジ工具への変更は効果が大きいです。
内径加工でバリが残る原因
内径加工は熱がこもりやすく、切粉排出も悪くなります。
そのため、
- 切粉詰まり
- 熱
- ビビり
によってバリが悪化しやすくなります。
突切り加工で“めくれ”を防ぐ方法
突切りでは、
- 刃先形状
- 最終送り
- 回転数
が非常に重要です。
特に樹脂向けの突切り工具は効果が大きく、めくれ改善につながります。
薄物加工でビビりとバリが同時に出る理由
薄肉ワークは材料が逃げやすく、振動によってバリが悪化します。
この場合は、
- 突き出し短縮
- 軽切削
- シャープ工具
が有効です。
ジュラコン加工におすすめの工具・チップ
超硬シャープエッジチップのメリット
樹脂加工では、
- 鋭利な刃
- 小R
- 高い切れ味
が重要です。
超硬シャープエッジは、糸バリやめくれ対策に非常に効果があります。
樹脂加工向けチップの選び方
選ぶポイントは、
- シャープ形状
- ポジタイプ
- 小R
- 樹脂対応
です。
金属用の万能チップより、樹脂専用品の方が安定します。
面取り工具を使うと後工程が減る
小さな面取りを追加するだけでも、バリ残りが大幅に減る場合があります。
後工程の手仕上げを減らせるため、生産性改善にもつながります。
バリ取り工具を使った効率化方法
量産ではバリ取り工程が大きな工数になります。
専用工具を使うことで、
- 作業時間短縮
- 品質安定
- 作業者差の削減
につながります。
どうしても機械での面取りが難しい場合を除いて、基本的には面取り工程は入れるようにしています。
実際にバリが減った加工条件の一例
外径加工で安定した条件例
実際の現場では、
- 回転数を少し下げる
- 送りを適正化する
- シャープ工具へ変更する
だけで大きく改善するケースがあります。
突切りで改善した送りと回転数
突切りは最後だけ条件を変えると改善しやすいです。
特に、
- 最終送り減速
- 高回転を避ける
の効果は大きいです。
工具交換だけで改善した事例
摩耗工具から新品シャープチップへ交換しただけで、
- 糸バリ減少
- 白化改善
- 寸法安定
するケースも珍しくありません。
逆にバリが悪化した失敗例
実際によくある失敗は、
- 送りを下げすぎる
- 高回転化
- R付き工具使用
です。
特に「仕上げ面を良くしたい」が逆効果になるケースは多いです。
ジュラコン加工でやってはいけないNG条件
- 摩耗したチップを使い続ける
-
見た目が綺麗でも、刃先は劣化しています。
樹脂加工は切れ味の影響が非常に大きいため、早めの交換が重要です。 - 送りを落としすぎる
-
送り不足は「擦り加工」になり、熱とバリを増やします。
- R付きチップで仕上げる
-
Rが大きいほど材料を押しやすくなり、糸バリが発生しやすくなります。
- 熱を持ったまま連続加工する
-
連続加工でワーク温度が上がると、めくれや白化が発生しやすくなります。



刃物数に余裕があれば、荒加工用と仕上げ加工用で2本使うのも効果的。
これなら切れ味の劣化を抑えられます!
ジュラコン以外の樹脂でも応用できるバリ対策
MCナイロン加工
MCナイロンは吸水変化があり、ジュラコンより柔らかく逃げやすい傾向があります。



ジュラコンの特徴やMCナイロンとの違いについては
こちらの記事をご覧ください。


アクリル加工
アクリルは熱より「割れ」や「欠け」に注意が必要です。
鋭利な工具と軽切削が重要になります。
PEEK・テフロン加工
どちらも、
- 熱
- 切れ味
- 工具形状
の影響を強く受けます。
樹脂加工全般で「擦らない」ことが重要です。
まとめ
ジュラコン加工のバリ対策では、
- 切れ味
- 熱対策
- 工具形状
- 送り条件
が非常に重要です。
特に、
- 摩耗工具
- 大きな切れ刃R
- 高回転
- 低送り
はバリ悪化につながりやすいため注意が必要です。
実際の現場では、
- シャープエッジ工具
- 樹脂用チップ
- 適正送り
への変更だけで大きく改善するケースも多くあります。
金属加工の常識をそのまま使わず、樹脂特有の特性に合わせて条件を調整することが、安定加工への近道です!


コメント